078-855-4273
〒657-0038 兵庫県神戸市灘区深田町1丁目2-21グリーンノート六甲2A
営業時間 9:00~22:00 定休日 不定休
和歌×変体仮名をろうけつ染めで表現しています「ろうけつ染め×デザイン書道」その①
神戸六甲アートスペースさくらみ代表 松本みのぶです。
こちらも私のHpで紹介したことなのですが、
私は大学を卒業してからずっと、いろんなところで古文・漢文の講義をしてきました。仕事の内容は、各種受験対策講座がほとんどだったのですが、そもそも私、無類の日本の古典文学好きなのです。
なかでも、特に平安時代の文学が好きで、ウチの猫にまで平安時代の歌人の名前をつけてしまうぐらいの古文マニアです(笑)。
ちなみに、ウチの猫の名前は「公任(きんとう)」。
平安時代中期、清少納言やら紫式部と同時代の歌人で「四条の大納言藤原公任」殿からお名前を頂戴いたしました。
ウチの公任殿のろうけつ染めポートレートでございます。
↓
ホンモノの(!)四条大納言公任殿は、
「滝の音は 絶えて久しくなりぬれど 名こそ流れて なほ聞こえけれ」
という百人一首の歌でも有名な御仁。
畏れ多くも、その公任殿の和歌にも取り組んでみました。
春来てぞ 人も訪(と)ひける 山里は 花こそ宿の 主(あるじ)なりけれ
拾遺和歌集 1015 藤原公任
【現代語訳】春がやって来て、ようやく人も訪れて来た。山里は、どうも花こそが家の主人だったという事が分ったよ。
草書体の「花」という字のリズミカルな感じと、「の」という字の形の面白さ、桜の花の色、
「自分の山荘を訪れてくれるのはお花見がメインで、自分はついでだったんだね」という、ちょっと寂しい感じ(いじけてる感じ?)を描いてみたかったのですがいかがでしょうか。
そもそも「人物を描きたい!」というのが、私のろうけつ染めのスタートだったのですが、
ピアニストの重松壮一郎さんの即興演奏とのコラボで、ライブろうけつ染めを何度か披露させていただいているうち
仮名文字の造形の面白さを、ろうけつ染めで表現してみたいなぁと考えるようになりました。
変体仮名が読めて古文に詳しい方なら、見たとたんにピンと来るような、
古文に興味のない方には、形と色の面白さを味わっていただけるような
そんな作品を作ってみたいと思い、
一番最初に作った作品がこちら。
心なき 身にもあはれは 知られけり しぎ立つ沢の 秋の夕暮れ
西行『山家集』
【現代語訳】ものの情趣を解さないこの(出家した)身にも、しみじみとした情趣は自然と感じられることだ。鴫が飛び立っていく沢(水辺)の秋の夕暮れには。
秋のもの寂しさを詠んだ「三夕(さんせき)の歌」のひとつとして知られる、西行の和歌です。
※参考までにほかの2首も紹介しますね。
●さびしさは その色としも なかりけり 槇(まき)立つ山の 秋のゆふぐれ 寂蓮
●見渡せは 花も紅葉も なかりけり 浦の苫屋の 秋のゆふぐれ
藤原定家
という、三夕の歌を高校時代に暗記された方、もしくはさせられた方(笑)は、
しぎ(支)た(多)つ(都)さ(沙)わ(王)の(能)
という文言で、秋の物寂しい情景を目に浮かべていただけたら。
変体仮名は読めなくてもいいというスタンスで書いています。
文字の形の妙というか、趣を感じていただけたら嬉しいです。
今、私たちが使っているひらがなは、元の漢字が一対一の対応でしかないけれど、
(例:あー安 い=以 う=宇 などなど)
昔は、「あ」は「安」だけじゃなく、「阿」とか「愛」とか「悪」とか
そのバリエーションがたくさんあって、その順列組み合わせの面白さを、現代の人にももっと味わってもらいたいのです。
「なんだかわからないけど、興味深い形だ」
と感じていただけたら嬉しいなぁ、と思っております。
アートスペースさくらみ
電話番号 078-855-4273 住所 〒657-0028 兵庫県神戸市灘区森後町2丁目3-12 ゴールドウッズ六甲ビル4F(ビル南側にエレベーターがございますのでそちらをご利用ください) 営業時間 8:00~22:00 定休日 不定休
22/04/07
22/01/18
21/12/02
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神戸六甲アートスペースさくらみ代表 松本みのぶです。
こちらも私のHpで紹介したことなのですが、
私は大学を卒業してからずっと、いろんなところで古文・漢文の講義をしてきました。仕事の内容は、各種受験対策講座がほとんどだったのですが、そもそも私、無類の日本の古典文学好きなのです。
なかでも、特に平安時代の文学が好きで、ウチの猫にまで平安時代の歌人の名前をつけてしまうぐらいの古文マニアです(笑)。
ちなみに、ウチの猫の名前は「公任(きんとう)」。
平安時代中期、清少納言やら紫式部と同時代の歌人で「四条の大納言藤原公任」殿からお名前を頂戴いたしました。
ウチの公任殿のろうけつ染めポートレートでございます。
↓
ホンモノの(!)四条大納言公任殿は、
「滝の音は 絶えて久しくなりぬれど 名こそ流れて なほ聞こえけれ」
という百人一首の歌でも有名な御仁。
畏れ多くも、その公任殿の和歌にも取り組んでみました。
春来てぞ 人も訪(と)ひける 山里は 花こそ宿の 主(あるじ)なりけれ
拾遺和歌集 1015 藤原公任
【現代語訳】春がやって来て、ようやく人も訪れて来た。山里は、どうも花こそが家の主人だったという事が分ったよ。
草書体の「花」という字のリズミカルな感じと、「の」という字の形の面白さ、桜の花の色、
「自分の山荘を訪れてくれるのはお花見がメインで、自分はついでだったんだね」という、ちょっと寂しい感じ(いじけてる感じ?)を描いてみたかったのですがいかがでしょうか。
そもそも「人物を描きたい!」というのが、私のろうけつ染めのスタートだったのですが、
ピアニストの重松壮一郎さんの即興演奏とのコラボで、ライブろうけつ染めを何度か披露させていただいているうち
仮名文字の造形の面白さを、ろうけつ染めで表現してみたいなぁと考えるようになりました。
変体仮名が読めて古文に詳しい方なら、見たとたんにピンと来るような、
古文に興味のない方には、形と色の面白さを味わっていただけるような
そんな作品を作ってみたいと思い、
一番最初に作った作品がこちら。
心なき 身にもあはれは 知られけり しぎ立つ沢の 秋の夕暮れ
西行『山家集』
【現代語訳】ものの情趣を解さないこの(出家した)身にも、しみじみとした情趣は自然と感じられることだ。鴫が飛び立っていく沢(水辺)の秋の夕暮れには。
秋のもの寂しさを詠んだ「三夕(さんせき)の歌」のひとつとして知られる、西行の和歌です。
※参考までにほかの2首も紹介しますね。
●さびしさは その色としも なかりけり 槇(まき)立つ山の 秋のゆふぐれ 寂蓮
●見渡せは 花も紅葉も なかりけり 浦の苫屋の 秋のゆふぐれ
藤原定家
という、三夕の歌を高校時代に暗記された方、もしくはさせられた方(笑)は、
しぎ(支)た(多)つ(都)さ(沙)わ(王)の(能)
という文言で、秋の物寂しい情景を目に浮かべていただけたら。
変体仮名は読めなくてもいいというスタンスで書いています。
文字の形の妙というか、趣を感じていただけたら嬉しいです。
今、私たちが使っているひらがなは、元の漢字が一対一の対応でしかないけれど、
(例:あー安 い=以 う=宇 などなど)
昔は、「あ」は「安」だけじゃなく、「阿」とか「愛」とか「悪」とか
そのバリエーションがたくさんあって、その順列組み合わせの面白さを、現代の人にももっと味わってもらいたいのです。
「なんだかわからないけど、興味深い形だ」
と感じていただけたら嬉しいなぁ、と思っております。
アートスペースさくらみ
電話番号 078-855-4273
住所 〒657-0028 兵庫県神戸市灘区森後町2丁目3-12 ゴールドウッズ六甲ビル4F(ビル南側にエレベーターがございますのでそちらをご利用ください)
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